ライヴ・レポート ジョン・レノン音楽祭2009
Dream Power ジョン・レノン スーパー・ライヴ
「どんな些細なことでも夢を持つこと。それが世界を変えていく大きな力となるのです」というオノ・ヨーコさんの提唱により、世界の子どもたちに学校を贈るチャリティ・コンサート「Dream Power ジョン・レノン スーパー・ライヴ」。第9回目のコンサートは2009年12月8日、日本武道館で開催されました。
9回目を迎える今回は、コンサートの提唱者であるオノ・ヨーコさんのパフォーマンスや、奥田民生さんと吉井和哉さんのコラボレーション、忌野清志郎さんが映像で復活するなど、盛りだくさんな内容で、1万2,000人の観客は盛り上がりました。
ソロでの出演は4年ぶりとなるヨーコさんは2曲を披露。ヨーコさんがジョン・レノンに捧げた日本語の歌詞が発売当時に話題になった‘Your Hands’は、コンサートで初めてのパフォーマンス、‘Give Peace A Chance’は、ビルボードのダンス・チャートで何度もNo.1に輝いているヨーコさんらしいダンス・ミックスでのパフォーマンスでした。
今年もコンサートなどの売上金から世界の子どもたちのために10校が建設支援され、9回のコンサートで、計95校の学校建設支援されました。
1. #9 Dream 2. One After 909奥田民生&吉井和哉
Dream Power ジョン・レノン スーパー・ライヴが2009年で9回目を迎えることもあり、ジョンのラッキー・ナンバーでもある「9」にちなんだ楽曲をメドレーで。まず‘Revolution 9’のイントロが響き、突如ふたりのアーティストが現れる。雑誌のインタビューでは「テンヤー・ワンヤー」というバンドを結成するとジョーク? で語っていたこともあるふたりのコラボが実現。奥田がポールのパートを、吉井がジョンのパートを歌い、オープニングというのに会場はクライマックス・モードの盛り上がりをみせた。
3. Don’t Let Me Down 4. (Just Like) Starting Over松本素生(GOING UNDER GROUND)
オープニングの奇跡のコラボに冷めやらぬ観客。ジョンの楽曲としては定番の2曲を初参加の松本がトリビュート・バンドの熱演にのって歌い上げる。
5. Mother 6. You Really Got A Hold On MeLeyona
‘Mother’をアカペラで、‘You Really Got A Hold On Me’をバンドでと変化をつけて歌ったLeyona。ジョンが幼いころのトラウマを歌ったヘビーなナンバー‘Mother’だが、ジョン・レノン スーパー・ライヴでは人気のある定番曲として落ち着きつつある。
7. Nobody Told Me 8. I Want To Hold Your HandBONNIE PINK
毎回、選曲にも凝っているBONNIE PINK。いずれもジョン・レノン スーパー・ライヴで初パフォーマンスとなった楽曲をカバー。ジョンの死後に発表された“MILK AND HONEY”からの‘Nobody Told Me’と、ビートルズがアメリカを制覇するきっかけとなったレノン=マッカートニーの出世作‘I Want To Hold Your Hand’だ。
9. Love(朗読)松山ケンイチ
黄色い歓声が会場を飛び交うなか、松山ケンイチが登場。何度も詞の意味を熟考したということで、自分なりに疑問形として会場に投げかけるなど工夫が感じられた。若い世代が松山に共感し、ジョンの心に触れられた瞬間。
10. Lucy In The Sky With Diamonds 11. WomanROCK’A’TRENCH
昨年はフジファブリックが務めた「若手バンド」のポジションを今回はROCK’A’TRENCHが担当。‘Woman’はアレンジを変え、ビートルズも多大な影響を受けたモータウンのエッセンスを取り込み、ソウルフルなパフォーマンスとなった。
12. Oh Yoko! 13. Jealous GuyLOVE PSYCHEDELICO
2009年で計95校となる学校建設の意義を俳優、山崎直子がナレーションし、LOVE PSYCHEDELICOが登場。去年の再演となる‘Oh Yoko!’、そして2曲目‘Jealous Guy’はカントリー・タッチにアレンジしてパフォーマンス。軽快で明るいステージとなった。
14. Love 15. Day Tripper浅井健一
初出演となる浅井健一。その硬派なスタンスには定評があり、誰もがどんなパフォーマンスが飛び出すのか固唾を呑むなか、‘Love’は意外にもピアノとボーカルのみでスタート。徐々にバンドが入り、優しくも強いカバーとなった。2曲目‘Day Tripper’はこれも意外にストレートにビートルズの楽曲をカバー。ブランキー時代に‘John Lennon’という曲を作ったほどの浅井の熱いジョンへの思いを表していた。
16. Out The BlueCocco
日本が生んだ名優、山崎努が不遇な少年の手紙を朗読する。その読み方は淡々としているが、その場所に生まれてしまったがための少年の過酷な運命をしっかりと伝えている。会場は、想像すら出来ないゴミの山で暮らす少年の暮らしへと山崎の朗読で一瞬だけでも瞬間移動し、共感した。
そして、実際にジョン・レノン スーパー・ライヴで建設された学校へ行ったことのあるCoccoが、その学校へ通う子どもにプレゼントされた手作りのバッグをさげて登場。Coccoの声と楽曲の持つ色が一体化した名カバーとなり、会場全体が癒しのムードに包まれた。
17. I’m So Tired 18. Polythene Pam奥田民生
存在感がどんどん増し、貫禄の奥田が堂々の登場。ジョンやビートルズのファンが聴きたい楽曲をぴたりと嗅ぎ分け、これまでもマニアックな曲を再現してきたが、今回もかゆいところに手が届く選曲。しかも、‘Polythene Pam’という"ABBEY ROAD"のメドレーのなかの1曲を小手先ではなく、完全に消化し、ギターを弾きまくった圧巻のパフォーマンスだった。
19. Imagine忌野清志郎
20. Working Class Hero
21. You’ve Got To Hide Your Love Away
谷しげるwith LOVE PSYCHEDELICO
惜しくも2009年に他界した忌野清志郎がバーチャル出演。ステージにひとり現れた清志郎に誰もが目を疑った。「ビートルズとジョン・レノンには中学生のころからすごい影響を受けました」という清志郎の素直なMCも胸を打つ。清志郎は「音楽で世界は変わる」と真剣に信じていたひとりだ。直後に登場した泉谷しげる、「生きてんじゃねえか、このやろ〜」と吠える。70年代フォークが復活したかのようなステージに観客は聴き入り、なおかつ毒舌MCに笑った。
22. Imagine(朗読)松山ケンイチ
再び松山ケンイチが登場し、今度は‘Imagine’を朗読。オノ・ヨーコが日本語に訳した歌詞をもとに、自分なりに表現した箇所もあり、彼が与えられた役を演じる俳優というだけではなく、表現者だということがよくわかった朗読だった。
23. Your Hands 24. Give Peace A Chance(Dance Remix)オノ・ヨーコ
2005年以来、2度目となるヨーコの単独パフォーマンス。今回はジョンに捧げた“MILK AND HONEY”収録の‘Your Hands’を全世界初パフォーマンス。歌詞は日本語と英語で歌われ、ジョンへの思いにあふれていた。続いての‘Give Peace A Chance’は全米ダンス・チャートで何度も1位に輝いているヨーコならではのダンス・バージョン。意外なアレンジに観客はぶっ飛び。
25. I’m Losing You 26. Yer Blues 27. Help!吉井和哉
本編をしめるのはおなじみの吉井和哉。ヘビーなジョンの楽曲を並べ、気迫のパフォーマンスを披露。今回は自身もギターを抱き、要所で刺すような鋭い音色を聞かせた。‘Help!’はジョンがソロ時代にやりたかったというスロー・バージョンだ。